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蒸留所放浪記(第3話)~麹エイジングプロジェクト2020 ジャックさんミーティング(1)~

CRAFT CULTURE

蒸留所放浪記(第3話)~麹エイジングプロジェクト2020 ジャックさんミーティング(1)~

(プロジェクトメンバー左から、研究所:副田さん・井元さん、製造部:倉原さん、松本、ジャックさん、製造部:楠木さん、21製造場:濱小路さん、通訳:朱さん、酒類ライター:アレクシスさん)


■麹エイジングプロジェクト
 世界の蒸留酒には多くの貯蔵酒があります。蒸留酒を長期間貯蔵することで、新酒(ニューメイク)にはない熟成感や味わい、香りが感じられるようになります。例えば、スコッチウイスキーやバーボンウイスキー、ダークラム、テキーラのアネホやレポサド、ブランデーのコニャックや、泡盛の古酒(クース)、本格焼酎の長期貯蔵酒・・・など。世界的にみるとオーク樽で貯蔵させる熟成方法がほとんどですが、泡盛のクースのように古酒甕(クースガーミ)で貯蔵熟成させるユニークな手法もあります。また、貯蔵年数や製法も様々です。
 日本の「麹の酒」の歴史では、沖縄の泡盛のクースを除いてあまり貯蔵に重きが置かれてきませんでした。その理由として、日本の酒造産業の歴史を見た時に構造上、貯蔵酒でなく新酒製造に適していたという背景や、新酒の香味が日本の食文化にマッチしていたことが主な理由ではないかと、個人的には考えています。
 ただ、貯蔵酒には、新酒とは異なる長い貯蔵期間に由来する熟成感や独特な香りがあることは間違いありません。そこで、より深く貯蔵技術を追求することで、他の酒類にはないユニークな「麹の酒」のエイジング(長い期間貯蔵すること)を行おうと考えています。貯蔵には3年、5年、10年、20年という長い年月が必要です。私たちは、この気の長いプロジェクトを「麹エイジングプロジェクト」と名付けて2018年から活動を開始しています。
 そんな、私たちの助っ人となってくれているのが、Jacques Bezuidenhout氏。通称ジャックさん。南アフリカ出身、米国サンフランシスコのスターバーテンダーで、国際的な米国のスピリッツのコンペティションUltimate Spirits Challenge(アルティメット・スピリッツ・チャレンジ)の審査員でもあります。今回、そのジャックさんが来日し、私たちの焼酎の貯蔵環境を見学した上で、麹エイジングに関するテイスティングやディスカッションを行いました。


■11月18日(月) いいちこ日田蒸留所見学
 ジャックさんとは、2018年3月11日に米国でお会いして以来の再会です。前回お会いした場所は、サンフランシスコにあるジャックさんのBAR Forgery(フォージェリー)でした。ここで、私たちはジャックさんの樽や貯蔵に関するプレゼンテーションを受けました。そのプレゼンの要点の一つである「貯蔵のライブラリー」を増やすべきだ、というジャックさんの提案を受け、この1年半の間に様々な「ライブラリー」を準備してきました。
・・・その時の様子はまた後日ご紹介するとして・・・。

 初日は、「いいちこ日田蒸留所」の見学を行いました。ジャックさんは三和酒類本社工場を見学されたことがあるため、焼酎の製法についてはご存じなのですが、あらためて見学をしてもらい、麹の造り方や、焼酎独自のもろみの発酵の仕方を知識としてアップデートして頂きました。工場案内は、麹と酵母にとても詳しい梶原副所長に丁寧に説明をしてもらいました。
 

いいちこ日田蒸留所の工場見学

~麹エイジングプロジェクト2020 ジャックさんミーティング(2)~に続く

  • 松本 真一郎

    三和酒類株式会社 / 研究所 商品開発課 課長

    1976年生まれ。福岡県北九州市出身。
    高知大学農学部卒業後、2000年に三和酒類株式会社へ入社。
    入社後、製造部、虚空乃蔵、三和研究所、商品開発部での業務に携わる。入社20年目。
    趣味は中学時代から続けている剣道。四段。
    子供は3人。3人とも剣道修行中。親子で剣道に明け暮れる日々を過ごしている。
    ワイン好きで(社)日本ソムリエ協会認定のソムリエの資格を持つ。
    好きなカクテルはTUMUGIベースのドライマティーニ。
    好きな作家は、開高健。
    座右の銘は、開高がこよなく愛した言葉で「悠々として急げ」「漂えど沈まず」