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人の健康に寄り添う

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人の健康に寄り添う

 皆さん、こんにちは。こうじらぼです。朝夕めっきり冷え込む日が続いてきました。寒くなってくると日本酒の酒粕を使った粕汁でもすすりながら体を温めたいですね。人気のある酒蔵の酒粕はすぐに売り切れるのでお買い求めはお早めに。ところで焼酎にも蒸留したあとの醪(もろみ)である「焼酎粕」ができます。焼酎粕は酒粕と違ってそのまま食用として利用されることはありませんが、実は栄養機能成分が多く含まれています。この焼酎粕を(わたしたちは「大麦発酵液」と呼んでいます)有効利用しているのが三和酒類の拝田グリーンバイオ事業所。大麦発酵液は一体どのように加工して利用されるのでしょうか。今回はこの拝田グリーンバイオ事業所の食品事業部で働く松本さんに話を伺いました。それでは松本さん、宜しくお願い致します。


■人の健康に興味あり
 「栄養のバランスと人の健康」については家庭科の授業で習いますよね。「健康に過ごすには何を食べればいいんだろう?理想の栄養バランスは?」高校の授業でそんなことに興味を持ち始め、次第に栄養について詳しく勉強しようと思うようになりました。栄養学を勉強していると言うと、多くの人が「料理が得意なんですね」と返してきますが、それとこれとは別ですので悪しからず…。
 大学では食物栄養学を専攻していたので、多くの卒業生と同じように管理栄養士として、病院や学校給食、食品メーカーへの就職を漠然と考えていましたが、まさか酒造メーカーで働くことになるなんて当時の私は想像すらしていませんでした。きっかけは合同企業説明会で三和酒類のブースに立ち寄ったことです。三和酒類が「焼酎粕の栄養機能成分を食品素材に利用する研究をしている」ということを知って、ここに行けば健康や栄養に関わる仕事ができると思いエントリーを決めました。あの場でその話を聴かなかったら他の会社で働いていたと思います。これもご縁なのでしょうね。

 
【拝田グリーンバイオ事業所】


■焼酎粕は栄養の宝庫
 三和酒類では「いいちこ」を発売した1979年から、焼酎粕を肥料・飼料の原料として利用開始。2009年には拝田グリーンバイオ事業所を新設し、メタン発酵設備でバイオガスとして利用するなど、焼酎粕の資源循環に取組んできました。
 実はこの飼料として利用する過程で、畜産農家さんから「乳牛の乳の出がよくなった、牛が元気になった、調子が良くなった」という声が聞かれるようになりました。そこで、「人が食べてもいいんじゃないか」という話になり分析してみると、クエン酸やアミノ酸、オリゴ糖、ポリフェノールといった有用成分が多く含まれていることがわかりました。これは大麦が麹や酵母の働きで分解されたことによるものです。また、大分大学との共同研究で、脂肪肝の抑制効果なども確認し、食品素材としての可能性が見えてきました。
 


【栄養の宝庫である焼酎粕(大麦発酵液)と発酵槽を確認するスタッフ】


■機能性食品素材の開発
 焼酎粕はお味噌汁のような液体ですので、ろ過(固形物を取り除く)して透明の液体に加工します。私たちはこの液体を「発酵大麦エキス」と呼び、食品素材として利用しています。
 現在、主力製品になっているのは「大麦乳酸発酵液ギャバ」という素材です。機能性を持つ成分として認知が上がってきているギャバですが、三和酒類では、発酵大麦エキスを使って、乳酸菌発酵という方法でつくります。実は別の成分を研究していた研究員が、効率よくギャバを作ることができる方法を偶然発見したのがきっかけです。粉末化したギャバを食品メーカーさん向けに供給しており、健康維持をサポートする食品の原料として数多くの商品に利用されています。なお、このギャバを配合した自社商品も販売しています。

 【ギャバを配合した商品(左・右)と大麦乳酸発酵液ギャバ(中央)】


■人の健康に寄り添う
 焼酎粕の利用というと「廃棄物の有効利用、リサイクル」といった言葉を使われることがよくあります。でも私たちは、焼酎製造工程で発生した「有用な」副産物だと考えているので、資源循環という概念に留まらない事業だと思っています。拝田グリーンバイオ事業所は「焼酎粕という有用な副産物に付加価値をつけて、人の役に立つものをつくり上げる」、そんな事業所であることを伝えていきたいですね。
 焼酎事業と違って、食品素材は単独で商品になるわけではないので、直接消費者の目に触れることが少ない黒子の事業です。気づかないかもしれませんが、皆さんの身近な商品に、実は使われていたりするんですよ。
私個人のポリシーとしては、あくまでも「人の健康は普段の食事と運動、生活習慣から」です。しかし、「それでも足りない時があるからサプリや機能性を持つ食品の力をちょっと借りる」、そんな場面で役立つ商品を提供できたらと考えています。「皆さまの健康に寄り添う」といったイメージでしょうか。食品事業部のメンバー一同、お客様の健康の一助となればと願いながら仕事をしています。また、「いいちこ」だけではない、三和酒類のチャレンジを知っていただけたら嬉しいです。

  • 松本 真紀

    三和酒類株式会社 / 食品事業部 食品素材開発課 チーフ

    大分市出身。熊本県立大学食物栄養学科卒業後、2000年に入社。
    酒造メーカーに就職したが、会社人生のほとんどはお酒以外の仕事をしている。