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繋がりの中で生きる

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繋がりの中で生きる

 みなさん、こんにちは。こうじらぼです。三和酒類の本社には焼酎の原酒を仕込む3つの製造場の他に、限定商品の製造や試験仕込みを行う『酒の杜21製造場』(以下21製造場)があります。焼酎仕込みの技能と技術の研鑽を図り、それを社内外の方へ提供するちょっと特殊な製造場なのですが、敷地内でも少し離れた場所にあるせいか、社内でもベールに包まれた部署となっています。今回はその仕事場の謎を探るべく、そこで働く濱小路さんにインタビューを敢行致しました。それではロックとプロレスをこよなく愛する濱小路さん、宜しくお願い致します!


濱小路 時は来た!それだけだ… (敬愛する橋本真也選手の名言)

………、あっ、よろしくお願いします。


■紆余曲折あった学生時代

―― まずは濱小路さんの人となりをご紹介させてください。学生時代は何を学ばれていたのですか?

 高校時代(1996年)に登場したクローン羊ドリーの存在が衝撃的で「これからは遺伝子工学の時代か…!」と思い、遺伝子工学を学べる大学を受験して植物病原菌の遺伝子解析をする研究室に所属していました。ですが、当初抱いていた理想と現実とのギャップを感じ、日々実験をしている私を見て教授が何か感じたのでしょうか?「君は早く社会に出た方がいいね」と助言(?)を頂きシフトチェンジをしました。気が楽になりましたね(笑)それから「自分に合う仕事はなんだろう?」と思い、社会勉強と実益を兼ねて様々なアルバイトをしました。


―― どのようなアルバイトをされたのですか?その中で興味を持った職種はありましたか?

 飲食店のスタッフを中心にライブスタッフ、イベント会社、工事現場、塾の講師、宝飾品の販売、などなど。短期のものを含めると20職種前後は経験しました。普通に学生生活を送っていては出逢えないような方から聞く話や助言がとても興味深く影響を受けました。一期一会!人と人とのご縁の大切さを感じましたね。転機になったのは結婚式場のスタッフをしていた時です。人生の節目には必ず良い『食(酒)』と『音楽』がつきもので、誰かの思い出にそっと寄り添えるようなものを創造出来る仕事がしたいなぁ~と考えるようになりました。因みに音楽は大学2回生で限界を感じ諦めました…。あの世界はエグイ。


―― なるほど。結婚式場や飲食業のアルバイトの経験から「食(酒)」に興味を持ったのですね。そこで三和酒類を探して受験したということでしょうか。

 いや、それが違うんです。友人である岡田さんが三和酒類に内定したという話を聞いて意識しはじめました。彼とは高校時代部活が一緒で仲が良かったんです。彼が内定したことを聞いて会社に興味を持ち、調べるうちにこの会社では自分のしたいことが出来ると確信したこともあり、採用試験を受ける決意をしました。彼との繋がりがなければ今の自分はなかったと思います。


【酒の杜21製造場の建屋】


■造り一筋18年

―― これも「縁」ですね。入社後はどのような仕事をしていたのですか?

 造り一筋ですね。最初は焼酎製造の製麴(せいきく)担当でした。1日の大半はカッパを着て製麹室内の掃除をしていました。麹造りは雑菌の繁殖が天敵なので、隅々まで磨き上げていました。翌年にはいいちこ日田蒸留所第二製造場の立ち上げ、その後21製造場に配属されました。当時はベンチャー的な要素が強くて、限定商品の焼酎や清酒の開発・生産に携わっていました。その後に一度、精製課(商品の最終仕上げをする部署)へ異動しました。そして、また21製造場に戻ってきました。今になって思うと入社して10年間は社内の造りに関わる部署を怒涛の如く異動していますね。プロレスで言えば「海外修行して凱旋帰国するヤングライオン」のような感じすかね?(私自身、特に何も優勝などはしていませんが…)


―― プロレスネタ、ありがとうございます(笑)。21製造場ではどのような仕事をしているのですか。

 21製造場は酒迎さんが所属する製造課に比べると約1/10サイズの設備で、国産大麦「ニシノホシ」での仕込みに拘っています。私は小ロット限定商品の製造や共同開発商品の酒質設計、更なる酒質向上に向けて醸造試験を担当しています。以前の稲村さんの記事にもありました「西の星ビンテージ」はここで仕込んでいますよ。「西の星ビンテージ」はその年に収穫されたニシノホシの中で、醸造適性の優れた生産地区名入りラベルの数量限定商品です。厳しい品質検査から選抜された上位4地区のニシノホシを使い出来上がった4つの焼酎の中から評価の高い2地区がその年の「西の星ビンテージ」として発売されます。まさに究極の「西の星」ですね。毎年候補に挙がってくる大麦を手に取ると、生産者様の努力が伝わり凄いプレッシャーではありますが、責任とやりがいを感じますね。

 他にも「杜翁(もりのおきな)」という数量限定商品もあります。弊社では唯一の黒麹菌を使った焼酎で、通常の2倍以上の発酵期間かけ重厚な味わいに仕上げた商品です。義理の兄が「この麦焼酎美味しかったよ」って買ってきたのが杜翁だった時はビックリしましたね。また都内にある某プロレスラー様のお店で取り扱い頂いてると聞き、直接足を運んでご本人にお会いした時は感動しましたね。他にもバイヤー様と共同でゼロベースから酒質を開発した商品もありますよ。入社理由もそうなんですけど、ひとつひとつの仕込みや企画が一貫して繋がり(ご縁)の中で働かせて頂いているなと実感しています。


―― プロレスで言うと…

 なんだろう?21製造場の取り組みは天龍源一郎選手のプロレス人生に近いかもしれないですね。武骨に焼酎造りを研鑽しながらも、常に新しい事へ挑戦を続けている点など。プロレスの振り多いですね(笑)

―― ありがとうございます(笑)

 

【醪(モロミ)をチェックする濱小路さん】


■焼酎道場

 21製造場にはもう一つ大きな仕事があります。社内の方々にも焼酎造りの楽しさや神秘性を体験してほしいという思いから、2019年より「焼酎道場」をスタートしました。焼酎道場は21製造場の隣にある「壱號蔵」という小さな蔵で行われます。酒造メーカーで働いていても、全社員が焼酎造りを出来るわけではありません。ですが、「焼酎道場」は希望する社員は誰でも焼酎造りを体験することが出来ます。その造りをサポートするのも私たちの大事な仕事です。1グループ4~6名で性別や年齢、所属する部署もバラバラ。最初のうちはみなさん余所余所しい雰囲気ですが、仕込みが進むにつれて自然とチームワークが生まれてくる。「横の繋がり」ですか?その瞬間が何度みても不思議ですね。その繋がりはきっと今後の仕事に活きてくると思いますし、また自分で実際に仕込んだお酒を飲むのはきっと格別ですよね。

―― 社員全員が焼酎の製造に携われるのは面白いですね。「自分で仕込んだお酒を飲める」のは本当に幸せなことだと思います。一緒に造ったメンバーは部署の垣根を越えて仲良くなりそうですね。

 

【焼酎道場での仕込み体験の様子】


■今後の目標や夢

―― 21製造場の仕事内容がよく分かりました。これからの目標や夢があれば教えてください。

 21製造場では人と人、人と自然との繋がりを大切にしています。今後はそこから生まれた商品や企画を通じて、「いいちこ」ファンの方にはもちろんですが、そうじゃない方にも、三和酒類の取り組みやお酒のことに興味のベクトルが向いて頂ければ嬉しいです。

 15歳からバンド活動を続けていますが、お酒も音楽(ロック)も似た点が多いと思っています。嗜好性の強い点、(お酒も音楽も)無くても生きていけるけど、無いと人生がちょっと寂しいところや、感動の共有に言葉を必要としない点など…。懐かしの名曲じゃないですけど、21製造のお酒を飲むとあの頃を思い出します…なんてことを言われたら最高ですし、そんな商品をお届け出来るよう日々精進していきたいと思います。

―― 濱小路さん、ありがとうございました!今後の更なるご活躍を期待しています。

※記事に登場するプロレスラーについての記載は、あくまでも濱小路さんの個人的見解です。ご了承ください。

 

【2020年度「酒の杜21製造場」のメンバー】


  • 濱小路 誠

    三和酒類株式会社 / 酒の杜21製造場 チームリーダー

    1979年生まれ
    出身地:大分県大分市
    経歴:愛媛大学農学部 生物資源学科 
    (現:生命機能学科 応用生命化学コース)
    2003年に三和酒類入社 製造部、日田蒸留所、虚空乃蔵、精製課と巡り、
    現在は酒の杜21製造場
    趣味:音楽鑑賞/バンド活動(担当はBass)、
    ネット/口コミを頼りに食べ歩き、スポーツ観戦(プロレスが特に好きです)