記事Article

日田という町と共に

REGION

日田という町と共に

 大分県西部に位置する日田市。古くは江戸幕府直轄の天領として栄え、今でも古い町並みが残る歴史ある地域です。約300年の伝統を誇る「日田祇園祭」にはじまり、当時の栄華を再現した「日田天領まつり」、3万本の竹灯籠による幻想的な風景が魅力の「千年あかり」など一年を通して大小様々な祭りが開催され、毎年多くの観光客で賑わいます。その日田市中心街からやや北に向かった丘陵地に構える「いいちこ日田蒸留所」も歴史ある町の一部として長年酒造りを営んできました。今回はこの日田という町と共に歩む「いいちこ日田蒸留所」をご紹介致します。

※本文でご紹介するイベントや試飲などは、新型コロナウイルス感染症の影響で実施されていない場合もございます。詳しくはコチラをご覧ください。(2021年5月現在)

(取材協力:いいちこ日田蒸留所:若林武、藤田善也、清原政敏、木水卓也)

 

【いいちこ日田蒸留所】


■原酒をはぐくむ酒の杜

 いいちこ日田蒸留所は焼酎用原酒の製造を目的として2002年に製造場が開設、2004年に一般公開が始まりました。8.7ヘクタールの敷地内には、2つの製造場と2つの貯蔵庫、事務所兼ショップの計5つの建屋があります。そして、その周りをぐるりと囲む豊かな自然。三和酒類はこの「人と自然に調和したものづくりの場」を「酒の杜」と呼んでいます。

 春は200本以上の桜が一斉に開花して「酒の杜」を彩り、「サクジロー」(桜に留まるメジロ)がチヨチヨという心地よいさえずりと共に皆さんをお出迎えしてくれます。夏は眩しい新緑、秋は色鮮やかな紅葉を見学しに遠足でやってきた地元の園児や小学生が芝生広場でお弁当を食べたり、鬼ごっこをして遊んだりする姿を見掛けることができます。そう、「酒の杜」はお酒を飲まない人でも楽しむことができるのです。

 またショップではここで醸した原酒のテイスティングをすることもできます。原酒の飲み比べをしながら、酒造りのプロと会話をする。この贅沢な時間の過ごし方も、また「酒の杜」ならではなのです。皆様もお時間があれば、一度遊びにいらしてみてはいかがでしょうか。

※定休日:毎週火曜日(祝日の場合は営業)、盆・年末年始

 

【いいちこ日田蒸留所内にある桜のトンネル】


■日田の水と共に

 山紫水明の地で知られる日田市は「水郷(すいきょう)ひた」とも呼ばれ、国土交通省が認定した「水の郷百選」にも選出されました。日田は四方を山に囲まれた典型的な盆地であり、多くの河川が流れ込むことで豊かな水郷を形成しています。最大河川である三隈川は筑後川水系に属しており、江戸時代には伐採された木材などの物資を久留米や大川まで運ぶ輸送手段として利用されていました。また、毎年5月の鮎漁解禁に合わせて開催される「日田川開き観光祭」では鵜飼が行われたり花火を楽しむ遊舟が出たりと観光としても重要な資源となっています。このように輸送、漁業、観光、そして生活用水と昔から欠かせないものとして、日田の人たちは水を大切にしてきました。

 いいちこ日田蒸留所もまたこの「水郷ひた」の恩恵を受けて焼酎原酒を醸しています。「いいちこ」をはじめとする多くの商品の香味に深みを与える「全量麹造り原酒」や、「長期貯蔵用原酒」などが醸されており、それらの原酒は樽やホーロータンクでじっくり寝かされ静かに出番を待っています。日田蒸留所の蔵人である清原さんはこう語っています。「日田の水はさらっとなめらか。ここで醸した原酒は、口に含んだときの口当たりが柔らかく、きれいな味になります」と。三和酒類の麹の酒は、この日田の水を抜きに語ることはできないのです。

 

【樽とホーロータンクの中で静かに出番を待つ原酒】


■日田の文化と共に

 日田市は観光地ということもあり市内には多くの飲食店が軒を連ねており、店内には観光客に負けず劣らず地元の方も多く、一緒になって飲む姿を見掛けます。

 日田では飲み会を「頼母子(たのもし)」と呼び、友達同士、得意先の集まり、はたまたそれらの奥様同士の繋がりなど色々なカタチで集まっては交流を深めます。本来、「頼母子」は「民間互助金融組織」のことを指し、積み立てられたお金で開催される飲み会はありますが、日田では「頼母子」自体を「飲み会」と呼ぶほどに交流を大切にしているのです。こうやって経済を回し、繋がりを深め、地域を盛り上げる。普段からコミュニケーションを取っている日田の人たちだからこそ、多くの祭りがあってもうまくいくのではないでしょうか。この「誰かがする」ではなく「みんなでする」という行動、いいちこ日田蒸留所でも大切にしています。24名のスタッフは、それぞれの業務を持ちながらも忙しいときやイベント時には全員が手伝い、地域の祭りや活動にも積極的に参加します。みんなで助け合うこの精神は日田の文化から学んだものなのです。


 

【いいちこ日田蒸留所 紅葉祭2019 の様子】


■日田という町と共に

 最後に、いいちこ日田蒸留所所長の若林さんより皆様へメッセージを頂きましたのでご紹介致します。

―― 2004年に一般公開を開始して以来、多くのお客様にお越しいただきました。初めてのお客様にきっかけをお尋ねすると、『宿泊した旅館からお薦めされた』『昨日飲んだ居酒屋から話を聞いた』など、地元の方々のご紹介であることが多々ありました。地域に認められた場所であること、これが何よりも嬉しいです。この想いに応えることができるように、いいちこ日田蒸留所はこれからも日田と共に歩んでゆきます。

 

【2021年いいちこ日田蒸留所メンバー】


  • こうじらぼ

    NIPPON KOJI SPIRITの管理人兼Twitterの中の人

    本サイトの管理人兼Twitterの中の人です。
    「麹」に関する情報をどんどん載せて参りますので、よろしくお願いします。
    Twitterアカウント:https://twitter.com/koji_laboratory